最初のわずか数分間で、この物語の主人公・小学4年生ソンを演じたチェ・スイン11歳は、とてつもない可能性を秘めた演技派女優だとわかる。われわれ誰しも遠きあのころに経験した、ある遊びにおけるある局面、カメラはその瞬間に感じるなんともやるせない気持ちを、彼女の表情のみ追うことによって表現している。そしてその表情を引き出したのは女性監督ユン・ガウン37歳。
1学期の終業式、いつもひとりぼっちだったソンのまえに現れた転校生ジア。意気投合したふたりが過ごす楽しい夏休み。ところが2学期が始まるやクラス女子グループ間の力学にほんろうされ、もともと家庭環境に差があったふたりのあいだはギクシャクしてくる。このあたりの微妙な力関係はかって小学生女子だったかたなら誰しも経験していることだと思う。
この手の作品にしては、いわゆる“大人の介入”はほとんどない。むしろ“しょせんは子供同士のこと”として奥に引っ込んでしまっている感じだ。その分、思春期以前の女の子たちが初めて直面する、裏切りやジェラシー、その他さまざまな感情の揺れ具合を十分味わえる物語になっている。まあとにかく女の子たち、みなそろって名女優でした。
イ・チャンドン企画作品だとか、是枝裕和作品の影響ありとかいう宣伝文句につられて観たのだけど、小4女子同士の心理のせめぎあいを追うことに気持ちがすべて奪われて、途中からそんなことはどうでもよくなった。そしてなんとも唐突であいまいなエンディング、そう小学生女子の日常なんて、そんなにスッキリと決着がつくわけないよなあとしみじみ感じたのでした。
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