「アンダーグラウンド」「黒猫・白猫」のエミール・クストリッツア監督にとっては9年ぶりのメガホン。今回は牛乳配達人コスタとして、全編出ずっぱり堂々の主役でもあり。そしてその相手役、ヒロインのイタリア人花嫁にはモニカ・ベルッチ。舞台は東欧のどこかの山村そして恒常的な戦火と隣り合わせの日々、銃弾をかいくぐりながらの奇妙な愛の逃避行。
異国情緒という言葉はあまりにもイージー、イスラム圏や中南米を舞台した映画作品を観たとき以上の現実感のなさがそこに。そして時代考証もどこかへ飛んでった、ずっとずっと遠い夢のかなたで繰り広げられているような物語。なので村の住民所有のラジカセから、ふいにおなじみのポップスが流れてきたときは、急に現実世界へ引き戻されたような気分にも。
後半に進むにつれて、話はさらに奇想天外というか破天荒になっていく。銃弾飛びかう戦闘場面も徐々にスケールが大きくなる。観ているこちらはなにやらクストリッツア監督とイマジネーション対決をしている気分にさせられるが、その奇妙キテレツぶりにやがてついていけなくなり、知らぬ間にエネルギーを消費していることに気がつく。
この監督作品の特徴のひとつ、まるで動物園にいるかのような数多くの鳥類・獣類の登場も健在。まず最初に彼らのユーモラスな生態だけを撮っておいて、そこにあとからストーリーを組み上げていったのではないかと思うほどの名演技。まあとにかくこの超個性的な映像世界を一度味わっていただきたいと思う次第、まちがいなく好き嫌いはわかれると思うけど。
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