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2017年08月26日12:36

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TV場番組「あの人に会いたい」で松尾和子・和田弘とマヒナスターズ

 「あの人に会いたい」は宮本アナウンサーが司会する人気番組。この夏再びのような気がするが、フランク永井の恩師吉田正学校での名優でもある松尾和子・和田弘とマヒナスターズがテーマだった。
 この記事は主にフランク永井を扱っているのだが、フランク永井を語るときに欠かせないのが、恩師吉田正であり、当時フランク永井とゴールデン・デュエットを組み強烈な印象を残した松尾和子やマヒナたちであることから、とりあげていきたい。
 著名な過去の歌手については、残るエピソードはほとんど取り上げられてしまっていて、特に新たな情報があるわけではないが、観ていて松尾和子の生きざまというか、生の松尾和子の一面が強く表現されていたように思う。
 恩師吉田正と最も長く作品の作成を身近でみまもってきた重鎮である八田プロデューサーの言葉があらわしている。戦後ジャズできたえた歌唱はそのあでやかな姿といい低い声の印象は誰もが追随できないものをもっている。米軍キャンプで歌っていた歌手や演奏家たちは、朝鮮戦争が停戦となったのちの在日米軍の縮小から、多くが東京などの大きな都会に進出した。
 特需による好景気とか戦後復興とかが重なり、都会にはキャバレーやナイトクラブが続出して、そこでBGM的な演奏と歌が求められていた。演奏ができて歌えるものには確かに需要はあったようだ。しかしお酒が出て会話が弾む場とはいえ、それなりに「高級」な場とみなされていたことから、演奏も優れたものが求められた。同時に、騒がしくて聴かれることもないような歌でも、うまい、しかも優れた歌手が歌った。
 そうした場での「日本人による曲と歌唱」の実現を目指して苦闘していた吉田正が、フランク永井の「有楽町で逢いましょう」などの都会的な歌の成功で端緒をみいだしていたものの、さらなる広がりを求めていた。そのフランク永井が赤坂で力道山が営むクラブ・リキで歌っていた松尾を見出して、あとでも触れるが恩師らを連れて松尾の歌唱を聴かせた。
 そこで吉田正は求めていた歌手を見出す。松尾和子の誕生だ。
 橋幸夫や古都清乃が松尾は「姿と歌唱はムード全開の女性だが、いったん舞台を降りると女性的な語り口は消え、豪快な男気をだしていた」などと証言。確かにそうした側面があったかもしれないが、ムード歌謡の女王にたいしてそこまで明かさんでもいいじゃないか。松尾のファンもいっきに冷めちゃうぞ、などと飲んでる勢いで独り言…。
 松尾で思い起こすのは、後年息子が捕まり不幸な死に至った当時のことだ。何ということをしてくれるのだ、早く逃亡から戻ってこい、と溺愛する子に呼びかける。だが、密かに戻った息子を見て、気持ちが激情して翻る。秘密の抜け道を持つ自宅から、絶対に捕まるなと逃がすのだ。
 当時松尾は世田谷の豪邸にいた。この邸宅とは現安倍総理の親晋太郎が手放したもの。政治家邸の構造は忍者屋敷なのかと驚いた次第だが、松尾は子を溺愛すてそうしたというのだ。が、当然優秀な警察からあっさり捕まり、ムショで償う。このときの松尾が息子にあてた手紙こそが彼女の生の声を姿を表しているのではなかろうか。
 
 さて、松尾は後年テレビやドラマにも出たようだが、筆者はテレビを見ていない時代で実際には何もしらない。フランク永井とデュエットしていたのは当然知っている。だが、子供や千年の時代には率直に言って、ムード歌謡などなかったと思うし、松尾和子のような妖艶タレントは好きではなかった。森進一の出だし時代に、伊勢佐木町ブルースの青江三奈がでたが、同様にあの声で愛を歌うタレントや歌手に興味のなかった。
 周囲の人も大抵はそうだった。フランク永井はいいけど松尾和子や青江三奈はちょっとな。友達にはフランク永井もという人もいた。「お色気とムード満点」といわれて、そりゃイイと騒ぐガキはまずいたらおかしいだろう。
 だが、都会に出てきて、年もとって、改めて松尾や青江を振り返ると、彼女ら自身の歌の上手さには只者ではないものを感じだし、今や自ずと集まってしまったCD、レコード、カセットを聴いているのだからセワない。
 松尾が残した曲は属したビクターからさまざまな形で出されているので、十分に楽しむことができるのだが、以前にも触れたが、松尾は一時期キャニオン・レコードに移っている。この時に作った作品が「サテン・ボイス」(カセット)だ。
  「ラブ・イズ・オーバー」「秋冬」「居酒屋」「釜山港へ帰れ」「夢芝居」
  「時計」「黄昏ダンシング」「スイート・メモリーズ」「大田ブルース」
  「さざんかの宿」
 これは、カバー集なのだが、松尾を受け入れたキャニオン(PONY INC)も気合がはいっている。優れた編曲者を配置し、松尾には遊び心をたっぷりいれた自由な歌唱をさせている。いずれも他では絶対に聴けないような作品になっている。
 松尾の歌唱力の高さはたびたび指摘したとおりだが、自在に操れる声と技術を持ちながらも、それを存分に発揮できない生煮えのような気持ちが、ここで完璧に燃焼したような作品だ。
 松尾のショーを恩師吉田正が観にいったときの同行したひとりという小倉友昭(まま)が解説を添えている。彼はちあきなおみ紹介番組でも特異な視点から主人公を浮き彫りにしていた。
 歌がうまい歌手はカバーが上手。松尾も引けを取らない。ジャズの出だけに洋楽のカバーも多い。たっぷりと楽しめるのは松尾の全集のようなCD-BOXのVol4/5に収録されている。
 手元に「松尾和子とあなたの夜」「あなたと夜と音楽と」がある。タイトルが夜にやや偏ってはいるが、内容は幅広い。

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