「昭和初期のSP盤から近年のCDまで、これまで入手困難だった作品」のデジタル復刻を精力的に進めているMEG-CD。フランク永井の作品のほとんどに近いレコードを復刻して下さったところ。このMEG-CDから、6月21日に新たにLP「WOMAN」がCDで復刻発売された。
LP「WOMAN」は、1982年にシングル「WOMAN」、裏面の「愛のセレナーデ」、自身のヒット曲で再吹込みした「ラブ・レター」を含んだLPである。収録曲は下記の通りで、当時のヒット曲のカバー。フランク永井のレコードジャケットは基本的に写真がほとんどなのだが、この作品は珍しく絵だ。この絵は確か一度ヤフオクで高額提出されていたことがある。
01 WOMAN(作詞:山下達郎、作曲:山下達郎)
02 サチコ(作詞:田中収、作曲:田中収)
03 氷雨(作詞:とまりれん、作曲:とまりれん)
04 ラブ・レター(作詞:佐伯孝夫、作曲:吉田正)
05 メモリーグラス(作詞:堀江淳、作曲:堀江淳)
06 愛のセレナーデ(作詞:伊藤銀次、作曲:山下達郎)
07 心の色(作詞:大津あきら、作曲:木森敏之)
08 もしもピアノが弾けたなら(作詞:阿久悠、作曲:坂田晃一)
09 男の背中(作詞:中山大三郎、作曲:中山大三郎)
10 忘れはしないでしょう(作詞:なかにし礼/吉屋潤、作曲:吉屋潤)
11 街の灯がゆれる(作詞:山口洋子、作曲:曽根幸明)
12 ルビーの指輪(作詞:松本隆、作曲:寺尾聰)
フランク永井自身の作品「ラブ・レター」は1958(S33)年のSP盤が元だが、成熟した新たな吹き込みは落ち着いていてなかなかいい。ちなみにこの曲は1963(S38)年にもステレオ版で吹き込んでいるという、思い入れ深い曲だ。
カバーとはいえ、フランク永井の「もしもピアノが弾けたなら」「ルビーの指輪」などはこの盤でリリースされ、ファンを喜ばした。たびたび書いていることだが、フランク永井が山下達郎とのジョイントで実現した作品は、とかく話題を呼んだ。その内容は「フランク永井あれこれ」でたびたび記しているので、そちらをご覧いただきたい。
「WOMAN」は、現役で安定的なファンを常に周囲にいる名手山下達郎作品であるがゆえに、レコードの発表後、いろいろと話題を呼んだ。サントリー「樹氷」のコマーシャルソングとして使われた。また、フランク永井の映像記録の集大成ともいえる2009年のNHK-BS「歌伝説フランク永井の世界」でモノクロ映像とかぶせたエンディングで効果的に使われた。
山下は24Ch×2というゴージャスな演奏を自分で洗練させて、自分の作品集にデジタル復刻のような形で入れている。この音源とビクター音源とMEG-CD音源を聴き比べて楽しむのは、きっとぜいたくすぎることかもしれない。
ずいぶん前になるが、夜のヒットスタジオという番組でフランク永井が粋な歌いで披露して、当時世を騒がした。映像で残っていて、一時YouTubeでの閲覧できたのだが、著作権の関係から一時的にしか閲覧できなかったようだ。映像ということでは、フランク永井がレコードリリースする直前と思える時期に、フランク永井の公演で「新曲がこれから出るよ」というような紹介で披露しているのが映像化されて残されている。
これは関係者が私的に録画したこともあり、放送で耐えられるレベルでないのと何よりフランク永井自身が練習中のような感じで一部出だしにエラーをしている。だが、今となっては非常に貴重な映像であったことから、日立の吉田正音楽記念館のエントランスで一時流されていた。
ここで、フランク永井自身が若い音楽クリエータとのユニット、特に慣れ親しんで歌ってきたリズムから若い芸術家が編み出すリズムに乗ることのむずかしさを語っている。
この時期フランク永井はヒット曲が少なく、露出も少なくなり、回帰に向けた新たな挑戦を試みていた。「WOMAN」はそうしたなかで世に出た傑作だ。聴けばフランク永井の他の曲とは、一味も二味も異なる完成を感じることができる。そうした意味で、是非ともこの機会に「WOMAN」を聴いてみてほしい。
ちなみに、ネットの画像を見ていたらフランク永井がこのアルバムを東映俳優の大友柳太郎にサインをして渡したと思える画像があった。大友はまさに同時代を駆けた好きな名優だ。子供のころに映画「紅孔雀」で知りその後さまざまな映画を見てきた。その大友がフランク永井と交流があったに違いない証拠の品。
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