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2017年06月10日11:45

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フランク永井「東京〜大阪・歌の架け橋」「大阪ぐらし」そして「東京の唄・大阪の唄」

 フランク永井が大阪を中心にした関西や西日本でおおきな人気をはくしたことは有名だ。
 代表曲のひとつに「公園の手品師」というのがあるが、デビュー2年目にジャズ志向から流行歌に転向して1956(S31)年10月に「場末のペット吹き」を売り出したその翌月に、大阪朝日放送(ABC)ラジオの「ホームソング」で採用されて流れたものだ。「公園の手品師」は放送直後からリスナーに注目され、半月で交代のルールがあまりにも多い延長リクエストの声から、さらに半月伸ばして放送されたエピソードを持つ。
 この曲はさらに2年後になって1958年にSPレコードB面でで発売された。A面は「たそがれ酒場」。「公園の手品師」はいつ聴いても「古さを忘れさせる」奇妙な曲で、コンスタントに人気を保ってきた。そしてさらに20年後に新たな吹き込みで2回目の発売をしている。
 ちょっと横道にそれてしまったが、フランク永井の関西での注目をえた始まりである。当時宝塚で活躍しておられた方が、大阪という大都会に出てきて高度成長をささえて働く若者を対象に「大阪労音」を通じて歌の力で癒しをと企画していた。各地で次々と公演を企画してそこに定期的に歌手を呼んで、人気曲を広めた。さらに、歌手にはオリジナル曲を作るというアイデアを実行した。
 大阪労音の運動は広く受け入れられ、全国的な歌声運動に連携していった。こうしたなかで、最初の大阪でフランク永井は呼ばれて行き、いわゆる大阪ものを多く歌うようになった。そして、東北出身のフランク永井は関西出身と見間違われるほどのみごとな歌唱を披露して人気をえていった。
 オリジナルで生まれた歌の代表は「こいさんのラブ・コール」「大阪ぐらし」であろう。
 ビクターでは大阪を基軸にした歌の盛り上がりがあることに注目して、人気歌手に意識的な大阪ものをおおく歌わせている。1963(S38)年に「東京の唄・大阪の唄」というオムニバスのLP版を出している。
 「東京ナイトクラブ」「東京の人」「東京ドドンパ娘」「東京の美少年」「東京カチート」「東京チョンキナ」「新東京小唄」いすれも東京もの。B面に「こいさんのラブ・コール」「大阪の人」「大阪野郎」「男の旅路」「お百度こいさん」「流転」「大阪無宿」。
 聴きなれないかも知れないが「東京チョンキナ」は赤坂百々太郎。
 また歌の遡及に大きな役割を果たしたのはソノシート盤。値段が安くて歌の情報量が多くて、野外の集まりなどでも気安く楽しめた。ビクター・ミュージック・ブックというシリーズから1964年に「大阪ぐらし」が出ている。
 ここには当時一押ししたいフランク永井の曲も含めて8曲収めている。「大阪ぐらし」「悲しみの雨」「香水と煙草」「太陽は撃てない」「むせび泣き」「平行線の街」「公園の手品師」「ラブ・レター」。まあ、大阪の唄といはいえないのも含む。
 この冊子には「フランク永井・歌う大様」と題する記事が掲載されている。当時のフランク永井を評する代表的な声だ。
 【「ステージへ出て、フランクさんぐらい大きく見える歌手はありません」。舞台のそでで出を待つ若い歌手の一人が歌うフランク永井をみながら、こういってくれた。「どちらかといえば小柄だし、ふだんは冗談なんか飛ばして、優しい先輩なのに、一度ステージに上がったとたん、王様のごとく近づきがたく、こわいような威厳があるのです」。そしてふーっとため息つくと、ぼくがあれくらいになるには、どのくたい勉強すればよいのだろう、とつぶやいた。
 競争の激しい歌謡曲の世界で尊敬する人は、と聞かれた場合フランク永井さんとよどみなく答えられるその人―そのすぐれた歌唱法が、その深い解釈力が、そして素晴らしい表現の力が、その人を大きく見せるのだ。そしてその人は、一曲ごとに厚みをまし、ますます大きく威厳を増していくのだ。たぶん、このとき若い歌い手の言った「歌う大様」という言葉ほど、フランク永井にぴったりの言葉はないだろう】
 1973(S48)年LP「東京〜大阪・歌の架け橋」が編纂されている。
 ここでは、フランク永井がそれまでにうたってきた東京と大阪をテーマにした曲を2枚のレコードに凝縮している。
 「フランク永井はなぜ大阪で人気を得たのか」とよく聞かれる。当然私はその真実をしるよしもない。だが、ひとりのファンとして、彼が残した歌の全容を追っていると、上記のようなことがわかってくる。
 大阪で歌うきっかけを得た時に、次につながったのは間違いなく彼のすぐれた歌唱力だ。提案した人が納得し、期待以上のものを提示することができたからだ。これは誰にでもできることではない。多くの人に機会はおとずれる。その瞬間のチャンスを見抜く力、その瞬間に自分の力を発揮できる練力。その人の人間性。そうしたものが左右を決する。

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