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2017年05月28日15:00

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「光」〜“見える”とは、そして“想像力”とは

ことし一番の邦画に出会ったと書いたのはきのう。ところがすぐさまそこに肩を並べるだろう傑作を堪能した。現在開催中のカンヌ映画祭で最高賞パルムドール有力と言われている、河瀬直美監督の最新作「光」。視覚障碍者向けの「映画音声ガイド」制作者・美佐子(水崎綾女)と無愛想な弱視のカメラマン・雅哉(永瀬正敏)の物語。「光」とはこれ以上ない絶妙のタイトル。

ある意味これは映画製作者による、かなり重くひねった楽屋落ち作品と言えるかもしれない。架空の映画の一場面が登場、そこに重ねていく音声ガイドのナレーションをめぐり、美佐子と視覚障碍者たちのあいだで意見が微妙に食い違い、やがて雅哉とのいさかいに発展する…このあたりのセリフのやりとりは河瀬監督自身の映画論を垣間見るようで興味深い。

主たるロケ地はやはり監督の地元・奈良。勝手知ったる自分の庭とばかり、物語のカギとなる夕日の眺め(美佐子が過去に思いをめぐらすヒントとなったあの山はひょっとしたら…)をはじめ、美しい風景がいくつも登場する。そして河瀬作品の象徴ともいえる山深い森に重なる樹々も、美佐子の心象風景をあらわすかのように何度となく目の前を横切っていく。

アップを多用しつつ、ワンカットごとを非常にていねいに撮っている印象をあたえるのは、これまでの河瀬作品すべてにも共通する素晴らしき個性。そして”見える”あるいは“想像力”という言葉の意味に関していろいろと考えさせられる作品。さて、映画祭の結果が発表になるのはあす未明とのこと。“カンヌの申し子”と言われる河瀬監督のもとに吉報がとどくかどうか。


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