文豪三島由紀夫、数多くの作品のなかでは異色の存在といわれるSF小説が原作。まちがいなく読んでいるはずもあまり記憶になし。今回の映像化は完ぺきにイマの21世紀日本社会をとらえた物語、おそらく半世紀以上前の小説からはおおまかの骨組みだけを拝借したのだろう。それとも年月をいくら経たところで人間というのはあまり変わらないという製作者のメッセージか。
リリー・フランキーが気象予報士を演じるという意表をついたキャスティング。最初のうちはそのミスマッチをとても楽しめたんだけども、物語がだんだんと非日常になるにつれて徐々に違和感。やっぱりこのひとは物語の中心ではなく脇に置いとくべき存在、映画のなかにいながらもその作品全体を斜に構えて見ているようなキャラでこそ光輝くなあと思った次第。
いわゆる“前振り”部分がやたらと長く、家族それぞれが自分は異星人だと自覚するあたりから物語は一気に弾け…てほしかったんだけど、それがそうでもなく、切れ味を欠いたまま着地してしまった感じ。現代社会を風刺する視点はすごく面白いんだけど、その切り口はやや甘め、かと言ってドタバタに徹しているわけでもない…そんな印象が残ってしまった。
まあ、いわゆるトンデモ、トホホ、カルトなどと評され、のちのちまで語られる個性的な映画作品としての要素は十分兼ね備えるも、そこまでの徹底ぶりは見られなかったということ。デビュー作から一貫してCMディレクター出身らしい独特の映像世界を築いてきた吉田大八監督、6作目の今回はちょっと気持ちが空回りしたかなというのが正直な感想です。
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