地球上の12か所に謎の飛行物体が突然降り立った。その物体は地上すれすれでじっと静止しているだけ、向うから襲ってくる気配はまったくない。内部の“彼ら”とコンタクトをとるべく言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)がかりだされ、物理学者のイアン(ジェレミー・レナー)とともに物体の内部に侵入していく…。やたらと前評判の高いオスカー作品賞ノミニーのひとつ。
得体のしれない目の前の静止物体、不安感をあおるかのように空はいつまでもどんよりとしたまま、いやスクリーン全体がずっと暗めのままだ。向こうが動かないからアクションを起こすのは常に人間の側。テレビモニターを通した世界各国のパニック状況がおりおりではさまれなければ、実に淡々とした辛気臭いSF作品になったかもしれない。
物語が壮大なるエンディングに突入するあたりから、時系列が何度も前後し、さらに主人公の心象風景みたいなものも織りこまれてきて、すべての解決に関して観る側はちょっとアタマを使うことになる。映画としてこれはルール破りちゃうのと思った、謎解きと言ってもいいあるシーンも、たぶん私の理解が不十分がゆえに感じたことなんだろう。
“彼ら”とのコンタクトそしてその言語分析(視覚的にはまるで“墨絵”!)が物語の主軸となるので、言語学に興味のあるひとにとってはとても刺激的な作品になると思う(あるいはあまりの脇の甘さにツッコミまくるか)。そしてこんなに“戦わない”SF作品はめずらしいかも。戦っているのはいつも人間同士だけ、それがこの作品最大の“メッセージ”かもしれない。
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