こんな力強い国歌斉唱をいままで聴いたことなかったぞ。前日には聞くに堪えないヤジを土俵に向かって飛ばしていた大阪のひとたちが、こんどは一致団結して「君が代」ときたか。そしてそのとき泣いていたのは稀勢の里ひとりにあらず。そう、泣きながら高らかに歌ってるひとがけっこういた。ここは大阪、やっぱり喜怒哀楽をむき出しにする土地柄ってことなんだろうか。
それは目の前で観たばかりの奇跡の大逆転劇に震えた感動、そして偉業を達成した稀勢の里にたいする感謝の気持ち。それらの思いがすべて力強い歌声に集約されたのだろうと。ああ、これからもえんえん語り継がれるだろうこの大相撲史に残る奇跡の瞬間を、できることなら目の前で味わいたかった。地下鉄に乗れば10分そこそこでたどりつく場所なのに。
私も多くのひとと同じように、十三日目に稀勢の里が日馬富士に敗れたとき、もう彼は休場したほうがいいと思ったひとりです。そしてほとんど相撲にならなかった鶴竜戦を見たときも、千秋楽はムリして出ないほうがいいと思ったひとりです。そして多くのひとと同じように、千秋楽は照ノ富士があっさり勝って優勝すると確信していたひとりです。ところがなんと…。
とにかくこの予想だにしなかった千秋楽の奇跡のおかげで、大相撲人気復活にますますの拍車がかかることまちがいなし。とんでもなく盤石の起爆剤を稀勢の里は運んできてくれたものだと。半世紀近い相撲ファンにとってこんなに嬉しいことはないけれど、このぶんだと当分チケットを獲れそうにないな、なんて早くも来年のことまで考えてしまった感動のフィナーレでした。
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