孤独と自由をハカリにかける人生の充実期。フランスを代表する女優イザベル・ユペールがたくましく生きる女性ナタリーを演じる。彼女は高校の哲学教師、なのでセリフには古今の哲学者・思想家の名前やその著作タイトルが幾度となく登場する。もちろんそれらをよく知ってるほうがこの物語をより楽しめるかもしれないけど、実際のところはニヤッととする程度かもしれないし。
ほとんどの時間、カメラはナタリーの半径数メートルから離れることはなく、まるでドキュメンタリーのように彼女の日常を追う。いや実際にそこでは人生の一大事的なことがいくつも起きているのに、まるで高校での授業をこなすかのように、彼女は淡々とそれらに向き合っていく(初め彼女が教鞭を取っているのは大学だと思っていた。フランスのティーンはマセている)。
ナタリーが歩き回るシーンがやたらと多い。それは陽光きらめくパリの街角だけでなく、けっして広いとはいえないアパルトメントのなかにおいても。ややがに股気味でせわしなく、何かを踏みつけているような、正直あまり美しいとはいえないその歩様。それはまるで彼女がこれまで重ねてきた日々、そしてこれからの人生を文字通り体現しているかのようで興味深かった。
そう、原題は「L'AVENIR(未来)」、英題は「Things to Come」、そしてこの邦題。観てのお楽しみだけど、これらをなかなか意味深に感じる後味が待っている。それにしても欧米問わず多くの名監督の作品にひっぱりだこ、とりわけ60歳をすぎてからのハイペースな出演ぶり、今回演じたナタリーの生きかたはそのままイザベル・ユペールのたくましさに重なってしまったのだ。
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