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2017年02月25日16:30

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「The NET 網に捕らわれた男」〜網それは国家なり

韓国の鬼才キム・ギドク最新作。今回は南北問題という大きなテーマに挑戦。漁船が事故で流され、国境を越えてしまった北朝鮮の漁師ナム・チョル。韓国当局はスパイの疑いありと彼をソウルまで送致、過酷な尋問そして亡命の強要をくりかえす。ただただ妻子のもとに帰りたいだけの彼にシンパシーを抱くのは、監視役に就いた若き捜査官ひとりだけだ。

ナム・チョルがいきなりソウルの繁華街・明洞に放りだされる中盤での展開がこの物語のハイライト。偉大なる指導者の教えに忠実な彼は、堕落した資本主義社会の虚飾に満ちた光景を見るまいと、それまで屋外ではずっと目を閉じたままだったのだ。そこで見たもの、出会ったひと、こころを揺さぶった想いが物語の伏線となってクライマックスには効いてくる。

韓国そして北朝鮮それぞれの暴力的な尋問シーンを対比させ、権力欲や金銭欲、あらゆる欲にまみれた人間というのは国家の体制にかかわらず同じようなものだというメッセージが伝わってくる。ただ北朝鮮側の社会状況や権力のありかたなど、さまざまな描写はあくまで韓国からの視点で表現されたものだから、すべてにリアリティがあるとは言い切れない。

やっぱり韓国映画だなと思わせる、あまり美しくなくそして生々しい描写は点在するも、この監督にしてはバイオレンスは今回控えめ、大きなテーマに挑んでみせたという本気度がひしひしと伝わってくる。現実世界のほうがよっぽど映画的な昨今の状況が続くなか、すぐ近くの国で平和な日々をおくる我々の環境に、ありがたみをしみじみ感じてしまう一本となりました。
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