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2017年02月18日15:30

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「エリザのために」〜父親の愛、それはエゴ

ルーマニアの地方都市が舞台。ふだんはあまり見聞きすることのない、かの国のリアルな現代社会が浮き彫り。主人公の医師ロメオをはじめ、いわゆる社会的地位が高いといわれる立場のひとが多く登場するも、(あくまで日本からの目線で)誰しもさほどいい暮らしはしていない。常にどんよりとした空の色もあいまって、まずはこの大前提が重い気分を運んでくる。

イギリス留学を控える娘エリザが何者かに襲われる。警察病院の外科医という要職にあるロメオは、犯人探しと並行しつつ職務上のコネを最大限利用して、心身不安定なまま最終試験にのぞむエリザに温情がはたらくよう周りを顧みることなく奔走する。娘を思う父親の気持ち、それがあまりにも行き過ぎてエゴばかりが空回り、やがては周囲との関係がギクシャクしてしまう。

ロメオの背中を追うカメラワークが多いから、観ている側は誰しも彼に心情を加担してしまう。ところが話が進むうち、それは果たして正しいことなのかという不安な気持ちが芽生えてくる。このあたりの感覚は同じカンヌ映画祭がらみ、そして親子ものという共通点から強引な引用を許してもらえれば、是枝監督「そして父になる」の福山雅治が演じた父親に通じるものがあると思う。

犯人探しのサスペンス的要素はほんのわずか、幸せなひとはあまり出てこないし、最後にスッキリとする展開が用意されているわけでもない。そう、話の続きはこちらの想像力に委ねられて…という、いかにもヨーロッパ映画的ちょっとやっかいな作品。ただ退屈を覚えるようなことは全編通してまったくなく、この人間ドラマをじっくり味わった気分はしっかりと残っています。

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