こちらが読み終えるのを待っていたかのように映画化がきまった。主役のふたりに菅田将暉と桐谷健太。なかなかいいキャスティングではないかと思う。ふたりとも大阪出身、関西弁というか芸人言葉も問題なし。監督にはなんと板尾創路。吉本興業の囲い込みか。映画化されたあかつきには山下敦弘あたりが監督すれば面白いなと思いつつページをめくっていたんだけど。
物語を味わうより先にこのキャスティングを知ってしまったら、この人気男優ふたりをイメージしつつ読み進めただろうか。いや、すくなくとも徳永つまり“僕”のほうだけは著者そのものを投影して文字を追ったにちがいない。おりおりに展開されるお笑い論・芸人論はまちがいなく著者自身のもの、そしてテレたようにときおり話にオチをつけるところなんかも。
最後のひとヤマがくるまでは、売れない芸人の日常ばかりがウダウダ続くだけの話という意見もある。まあ芥川賞(≒純文学)を獲るような青春物ってだいたいこんな感じ、話にダイナミズムを求めるものに非ず、と思ったりもする。他者にたいする主人公の心象風景〜先輩芸人・神谷にたいする”僕”〜の変化をじっくりと地を這うように味わっていくものかなと思う。
井の頭公園から上石神井あたりの街並みが、物語の展開にほど良いスパイスとなって機能している。この調子でいつの日にかは大阪の街を舞台にした物語を書いてほしいと思う。でもそれはなかなか叶わないかもしれない。なぜなら“東京の街に放りこまれた関西人がもたらす異化効果”も、この作品の魅力のひとつだと著者自身が確信しているように感じるから。
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