登場人物わずか5人。主人公・母・兄・妹・兄の嫁。全編9割がたは5人の顔アップそしてセリフのやりとり。そのほとんどが陰影を巧く活かした室内のシーンさらに時間の経過はわずか一日。いかにもカンヌ映画祭が愛するような、そしてまさにグランプリを獲りそうな99分。監督は来月28歳になるグザヴィエ・ドラン、一昨年の「Mommy/マミー」で強烈な印象を残した若き才能。
この5人、マリオン・コティヤール、ヴァンサン・カッセル、レア・セドゥ、ギャスパー・ウリエル、ナタリー・パイというからすごい。それぞれがすでにハリウッドでも活躍している《フレンチシネマ・オールスターズ》とでもいうべき顔ぶれ、この実力派キャスト5人が丁々発止のやりとり、感情をむきだしにした人間ドラマをくりひろげるのだから、フランス映画好きにはたまらないと思う。
主人公ルイ(ギャスパー・ウリエル〜「サンローラン」主役)が12年ぶりに帰郷するところから物語ははじまる。はずかしながら私はその地点において、チラシにまで載っているような話の大前提をつかみそこねしまった。これを知ると知らぬでストーリー、いやセリフやカットひとつひとつの重みがぜんぜん違ってくるのに…情けない話です。
大半が室内における会話劇、舞台でも再現可能。さしたる大胆な展開もないので退屈と言ってしまえばそれまで。この監督のマニアックなファンなら、ライティングと音響効果の妙に面白さを見い出すのかも。とにもかくにも一見大げさに聞こえるこのタイトル(原題直訳)が、すべてが終わったときにじわじわ効いてくる、家族の愛の物語だけはしっかりとそこにありました。
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