1950年代のジャズ・シーンを代表する名トランぺッター、チェット・ベイカーの伝記映画。甘いマスクで“ジャズ界のジェームス・ディーン”といわれた主人公を演じるのはイーサン・ホーク。アクション&ファンタジー作品で観る彼も素敵だけど、6か月ものあいだ集中トレーニングを受けたというプレイヤーとしての立ち姿、そして名曲の唄いっぷりもなかなかのもの。
ここ数年、数々のミュージシャン伝記映画を観ているけど、そのなかでは正統派かつ地味な部類に入る作品かなと。よくありがちな《栄光と転落、またまた栄光》というパターンで言えば、《転落》の部分にかなりの比重が割かれているといってもいいと思う。有名ジャズ・ミュージシャンもいかにもな感じで登場。不遇期の彼を支えるヒロインが魅力的。
名曲を引用したタイトルにまちがいなく刷りこまれたのだけど、スクリーンのなか、いくつかの青い色彩に目を奪われてしまう。不遇時代の主人公が海辺で暮らしていたせいもあって、波打つ海岸のシーンが多く登場する。ところが美しく青き海原はほとんど映ることなく、これはおりおりの場面における、主人公の心象風景を反映したものかなと思ってしまう。
そしてさらに注目すべきは登場人物それぞれのファッション、派手なものはいっさいなく、それがカジュアルウェアであっても、ほとんどが無地の装いで一見地味。だけどどうしてこんなにカッコよくシックにキマるんだろうとうらやましくも。そしてそのなかにおいても、やっぱりブルー系の色合いのものばかりに目が奪われてしまったのだ。
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