80年代初め、釜山で実際に起きた冤罪事件をもとにした法廷ドラマ。金儲けばかりに興味のあった弁護士ソン・ウソクは、この事件をきっかけに社会・人権派へと変貌していく。演じるのはソン・ガンホ。若き日の盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領がモデルということだけど、それほど大きく謳っていないのはけっこう事実と違う部分がありってことかも。
おそらく韓国現代史をかじっていたほうが話に深みを感じられると思うけど、基本的には誰にもわかりやすい造り、日本であれば東宝あたりがきちっと仕上げ、シネコンで楽しむ社会派作品というところ。法廷ものと聞いていたので、もっとシリアスなタッチを予期していたら、幕開けはけっこうコミカルな運び、ところが後半に進むにつれてズシリと重い感触になる展開の妙あり。
コミカルと思っていたらやがてシリアス〜そう、これこそが韓国を代表する名優ソン・ガンホの魅力なのかも。このところ時代劇出演が続いていたのでちょっとごぶさただったけど、やっぱり目が離せない俳優のひとり。(それぞれ若き日の、つまりシリーズものの主役となる前の)森繁久彌・渥美清・西田敏行にたとえてみたいけど、やっぱりどこかが違う気がするし。
70年代後半から80年代にかけての釜山、ひとびとや街並みのたたずまいが、おなじころの大阪を思わせて懐かしい。もちろん軍事政権から民主化へと進む韓国激動の時代をストレートに描いたシーンも多々。それでもやっぱりラストシーンにおける、涙と笑いが微妙にブレンドされたソン・ガンホの表情が忘れられず、彼の存在感に圧倒されるばかりの作品となりました。
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