ポーランドとアイルランドの合作。巨匠イエジー・スコリモフスキ78歳の最新作は、観客誰もが想像しえない衝撃のラストシーンが待つ81分のラディカルなリアルタイム・サスペンス。大都会に暮らすいわくありげな11人の午後5時から午後5時11分までの11分間に起こる、さまざまなドラマを並行的に、そしてスタイリッシュに描いていくモザイク群像劇。
…ということをあらかじめ聞いておいててよかった。そうでなかったら途中まで、いや極端に言えばラストシーンがくるまで、何が何やらさっぱりわからなかったかも。いや、正直なところ観終わったあとのいまもどこかすっきりしない気分が残っている。劇中に何度となく流れる、不安感をあおる重低音がまさにそのもやっとした気分を具体化しているような気がしてならない。
たしかにラストシーンは驚愕、ここまでよく延々と引っ張ってきたな、タメにタメて一気に爆発かという思いがけない展開には納得するも、ストーリーの着地という意味ではどことなく寸止め感が漂ったまま。そしてけっして笑うところではないエンディングの流れなのに、どこか滑稽な匂いがして、思わず苦笑しつつスクリーンをながめたりしていた。
たぶんそんなことは百も承知だと製作側に言われそうだけど、もっともっと各パーツを巧みに組み合わせて物語を立体的にすることは可能だったはず。そう、この手の群像設定はよくあるけれど、今回ばかりは真の意味においての“並行的”。どちらにしてもスクリーンから終始漂ってくる、何かとんでもなく恐ろしいことが起きそうな不穏な気配だけは格別の一本といえるでしょう。
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