mixiユーザー(id:2399973)

2016年06月25日16:30

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「二重生活」〜哲学的尾行とは何か

珠(たまき)はごくごくふつうの大学院生。修士論文制作のためには人間観察すべしと、教授から“哲学的尾行”の実践を勧められ、手始めにとばかりお向かいの一軒家に住むヤリ手編集者の後をつける。するとそこに待っていたのは思いもよらぬ秘密、珠の好奇心はいやがうえにも高揚していく…。原作は小池真理子の長編小説。

珠は尾行のプロではない。なのでけっしてスムースな追跡をするわけではなく、観ているこちらはそのぎこちなさにけっこうハラハラ、自然と彼女を応援してしまう。尾行を続ける自分という存在はいったい何なのかと、気持ちの揺らぎを見せるひとりの繊細な女性を巧みに演じている門脇麦(これが単独初主演作)は実に魅力的だ。

それでも編集者(長谷川博己)の妻や周辺の女性、さらに教授(リリー・フランキー)のパートナーなど、物語の周辺部にいる女性たちにそそられてしまうのは、尾行をテーマとする作品のせいか、彼女たちのリアルをのぞき見したような気分にさせられるからだろうか。まあそれは男目線による下世話な興味なのかもしれないけど(みな珠より年上のいい女ですからね)。

ひたすら尾行を続けるだけという、直線的なつくりの前半部分にたいし、終盤に近づくにつれて少しずつ話が多層的に。そして人間関係が巧みにからんでいく結末あたりの展開には、思わずよくできているなあと感心と納得。“他人を尾行することは自分自身を尾行すること”、この哲学的な問いかけがなんとなくわかったような気がしてくるから不思議です。
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