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2016年06月18日17:00

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「葛城事件」〜やるせない家族崩壊

親の代から継いだ家業も順調、郊外ののどかな住宅地に立派なマイホームを建てた父親。家族は妻そして長男と次男。どこにでもある典型的な日本の家族のありようながら、時が経つにつれて息子たちそれぞれに問題が生じ、家族のつながりは徐々にほころびを見せていく。そしてタイトルがしめすとおりついに“事件”は起き、その崩壊は決定的なものとなる…。

その事件に社会的な制裁が下された地点から物語ははじまる。ただ時間の経過という意味においては、観ているこちらがとまどってしまうほど過去と現在あるいはその中間をいったりきたりする。しかしその行き来こそが、家族の崩壊を生々しく浮き彫りにしていくのだ。それはあまりにもむごくやるせなく、思わずスクリーンに向かってもうやめてくれと叫びたくなるほど。

やっぱりここは主演の三浦友和につきると思う。自己中心的で高圧的、他人の言うことに耳を貸さず視野が狭い…“昭和の男”の要素を強く匂わせる一家の主(あるじ)を熱演。そして時の経過とともにはらんでくる、手のつけられない狂気じみたその振る舞いには、たんなる役者としての新境地などという言葉でかたづけられない凄みを感じてしまう。

エンターテインメント作品にある爽快感とは対極にある苦々しさ。一件落着という言葉からもまったくの無縁。たしかに後味の悪さはちょっとこたえたけれど、ここまでの重みを感じさせる作品もそう多くはなく、誰しも多かれ少なかれ抱えている現代の家族の諸問題を見事にならべてみせたという点においても、ことしの邦画を代表する一本になると思います。



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