一昨年、ゴーストライター騒動で日本中の注目をあびた佐村河内守氏のその後を追ったドキュメンタリー。何度となく氏の自宅マンションを訪ねてカメラを回すのは森達也監督。出迎えるのは佐村河内夫妻だけでなく、一匹の猫となぜかいつも大ぶりのショートケーキ。番組出演依頼にやってきたフジテレビのスタッフが来ても、外国人ジャーナリストが来てもそのもてなしは同じ。
この騒動のおかげで、すっかりお茶の間の人気キャラとなってしまった新垣隆氏がオチャらけるバラエティ番組を、無言のままじっと見つめる佐村河内氏。ドキュメンタリー全体を彼にシンパシーを感じるかのような流れにしてあるかと思いきや、別の視点もいくつか盛りこんで観る側にいろいろと考えさせるのは森監督かねてからのお得意の手法。
ことの真偽はともかく、印象に残ったことふたつ。ひとつは聴覚障害というのは段階そして種別にもいろいろあり、けっして聴こえる聴こえないの二分法で考えてはいけないということ。そしてもうひとつはすべての時間に手話通訳で寄りそい、400人いたという友人を今回の騒動ですべて失ったという佐村河内氏に、何があってもついて行くとキッパリ発言する奥様の献身ぶりだ。
“誰にも言わないでください、衝撃のラスト12分間。”とチラシのキャッチコピーにあるから結末は誰にも言わないけど、まあ多かれ少なかれひとは誰しもウソをつくということ、そして肝心の18年にわたる疑惑の楽曲製作に関しては、結局のところ佐村河内=新垣のソングライティング・チームやったんちゃうの、というのが“偽り”のない私自身の見解となりました。
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