主演ティム・ロスが演じたのは終末期の患者をケアする看護師デヴィッド。彼は終始伏し目がちで暗い表情ばかり浮かべている寡黙な男。患者相手にジョークを飛ばすこともあるけれど、そのとき口も目も笑っていない。もちろん仕事が仕事だけにそうならざるをえないのは誰でもわかる。ところが話が進むにつれてその陰鬱な面持ちの理由はそれだけでないとわかってくる。
メキシコの若き才能ミシェル・フランコ監督は、こちらが退屈をおぼえるくらいになるまで、ひとつひとつのシーンをじっくりとていねいに撮っている。なかでも患者が横たわったベッドを真横から撮ったアングルがひんぱんに登場し、固定カメラはまるで定点観測するかのように、患者にさまざまなケアをするデヴィッドを長回しのままとらえていく。
起伏のあまりない淡々とした展開、ほとんどが固定したままの動きのないショット、饒舌な登場人物はほぼ皆無、音楽がかろやかに響くこともほとんどなし。“余白部分”がやたらと多い静寂あふれる作品とでも言えばいいのか。そしてこの静けさといかにつきあえるかがこの作品を味わうカギ、正直なところ少しだけイラッとしたことを告白します。
そしてチラシその他宣伝媒体でさかんにふれられている“驚愕のラストシーン”。たしかにもしこの場面でこうなったらそれはあまりにも…などと思いつつ観ていたら、実際そうなってしまったのには本当にビックリした。たまたまかもしれないけれど、(エンディングかそうでないかは別として)最近このパターンって多くないだろうか。たしかにそれは驚愕に違いないけれど。
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