東宝・東映のお正月大作をひとまとめにしてしまうのはあつかましいけれど、この2本は日本人にとっての合わせ鏡のようなもの。どちらか一本を観たかたは、かならずもう一本も観てください。ユダヤ難民にビザを発給“日本のシンドラー”を描いた「杉原千畝」、エルトゥールル号遭難事件そしてイラン・イラク戦争日本大使館救出事件を題材にした「海難1890」。
映画としてのデキは後者のほうが一歩リード。ふたつの時代を描いているせいで話がダイナミック。テヘラン空港でのラストシーンは、事実を逸脱した過剰演出だとわかっていても、こちらの胸にかなりグッときたし、なにより双方の時代に二役で登場する忽那汐里が美しい!とくにテヘランでの日本人学校教師役、ヒジャブ(ベール)姿は絶品です。
ヒロイン比較ということになると前者における小雪はちょっと浮世離れ。主人公杉原千畝の妻の役なんだけど、物語全体からひとりだけズレたまま終始。ほとんどが英語のセリフだった唐沢寿明が熱演、歴史の大きなうねりにほんろうされる主人公の信念や勇気は十分伝わってきたものの、こちらの作品はわりに最後まで淡々としていたような気がします。
ユダヤ難民数千人を救った前者、そしてトルコ人数百人を海難から救った後者。これらはただ単に“日本人のお手柄物語”ではなく、目の前の難題に人間としてどう向き合えるのか、そして昨今のキナ臭い世界情勢を前にして、日本人ひとりひとりがどう向き合えばいいのかを問いかけられているような、お正月には実にふさわしい作品だと思いました。
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