mixiユーザー(id:2399973)

2015年05月31日14:30

589 view

「あん」〜樹木希林、一世一代の名演

…と、3年前に彼女の出演作「わが母の記」のことを書いたときに記したけど前言撤回。今回のあんこ作り名人徳江役こそ一世一代、その自然な立ち居振る舞いぶりは素晴らしいのひとこと。おそらく河瀬直美監督は、細かいセリフを彼女にいちいち用意せず、自然ににじみ出るアドリブ的な彼女の一語一句にすべてを委ねたのでは。

そして今回対峙する相手がボソボソしゃべりをお得意とする永瀬正敏とくるから、そのアドリブ感はさらに増長される。彼が演じる雇われどら焼き屋店長千太郎が、極上のあんこ作りを徳江から指導される一連のシーンは、かっての伊丹十三監督「タンポポ」等と並ぶ“日本映画食作り名場面”のひとつになるのでは。小豆一粒一粒の輝きがこのうえなく美しい!

まるでドキュメンタリーでも撮っているかのような河瀬監督特有のカメラワークは今回も健在、風と光と緑と水の匂いをすくい取る巧さはあいかわらず、そしてふつうならここは撮り直しやろというアングルでも平気で勢いにまかせてカメラを回し続けているシーンもいくつか。なかにはそれがストーリーの重要なポイントとなる部分だったりするからある意味スゴイなと思う。

どら焼き屋が商売として成り立ち、さらに季節の移ろいをぞんぶんに感じられる場所なんてそうそうあるわけがなく、ロケハンにけっこう苦労したのでは。咲き乱れる桜の花を中心に日本の四季の描写や女子高生のおしゃべり場面など、カンヌの常連河瀬監督があきらかに海外の目を意識した映画作りをしていることがよくわかる作品でもあります。
25 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年05月>
日 月 火 水 木 金 土
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31