もっともっとライブシーンを観たかった。歌唱スタイルやファッション(特にヘアスタイル!)、そしてあの誰もが知るアクション、さらにバックバンドと一体となった独特のアンサンブルまでもが時の流れとともに変化していく。ここまで忠実に再現するんだったらこれみよがしにぶった切るのはもったいない。後半ややライブシーンは増えるけどなんとも贅沢な寸止め感。
主人公JB役にはチャドウィック・ボーズマン。「42 〜世界を変えた男〜」で黒人初の大リーガー、ジャッキー・ロビンソンを演じた男。野球と音楽、アメリカを代表するポップカルチャー双方の英雄を演じるなんて、役者としてこんな僥倖はないのでは。どちらも“観られる”ことを生業とするヒーロー、政治家や芸術家を演じるのとはまた違う面白さと難しさがあると思うのですが。
とてつもなく太い幹のようなJBの存在感だけで満腹感あふれる作品だけど、彼を支える親友ボビー・バード(ネルサン・エリス)の、常にJBとは表裏一体の存在に注目するのも面白い。そして数少ない白人キャスト、マネージャー役にダン・エイクロイド。彼はかって「ブルース・ブラザーズ」でJBご本人と共演、このあたりはなんともニクいキャスティングです。
唯我独尊・破天荒・ケンカ腰・トラブルメーカー…。彼が自分の行動を納得させたいとき、何度となくこちらに向かってカメラ目線で語りかける手法は、同じ音楽伝記もの「ジャージー・ボーイズ」を意識しているのかそれとも偶然か。エンドロールが流れきったあとも、彼のカン高い声がずっと脳内に響きわたっていたのでした。
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