う〜ん、これは一風変わったオスカー作品だなと。アカデミー賞よりはどこか別の国の映画賞がふさわしいのではと思ったり。少なくとも伝記物や難病物にあらず、リアルを追究しつつもCGふんだんの超常現象も登場。かってはヒーロー映画のスターだった男がブロードウェイの舞台で葛藤する。「バベル」のアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督、マイケル・キートン主演。
全編1カットかと見まごう超長回し映像ばかり話題になっているけど(撮影は「ゼロ・グラビティ」のひと、このひとはカメラのストップボタンの位置を知らないようで…)、出演者たちがやたらと饒舌なことも印象的、業界ネタや固有名詞がつぎつぎと口にのぼり、ユーモラスな比喩表現も豊富、とにかく情報量の多さには圧倒されてしまいました。
ウザさの極地自己チュー役者を演じたエドワード・ノートンややたらとイマ風な娘役エマ・ストーンはじめ、脇役たちの存在感も見逃せないけれど、やっぱりこの映画はマイケル・キートンの独壇場。全編の4分の3以上は画面に登場し、そのほとんどの時間でいらだちあるいは苦悩の表情を見せつつセリフ(劇中舞台上のセリフもふくめて)をわめきちらしていたような。
セリフが饒舌なぶん、うしろで流れる音楽はいたってシンプル。タイミングよく弾けるドラムソロそして情緒たっぷりストリングスの調べは効果的。ブロードウェイ社会のドタバタを描いた文字通り“舞台裏”作品にとどまらず、スクリーンの上に起こるいくつものありえないこと〜予期せぬ奇跡〜がいくらでも深読みを可能にしている味のある作品でありました。
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