mixiユーザー(id:4778237)

2015年03月29日13:49

1142 view

フランク永井「ステレオ・ハイライト」全6巻シリーズの魅力について聴きながら振り返る

 1964(S39)は東京オリンピックの開かれた年だ。音楽業界がモノラルの時代から急速にステレオに切り替わっていく。フランク永井の人気は高まり、LPレコードも1968年に第1集が発売されたモノラル盤の「魅惑の低音」シリーズも第14集をだしたのを最後に、その翌月に「ステレオ・ハイライト」第1集がでて、ステレオ・シリーズに切り替えていった。
 すでに1962年には「有楽町で逢いましょう」「夜霧の第二国道」などそれまでのモノラルのヒット曲はステレオで吹き込みなおして「ステレオ・魅惑の低音傑作集」(SLV-13)として発売している。「ステレオ・ハイライト」シリーズは、ビクターの人気歌手であったフランク永井を先頭に、橋幸夫、三田明、松尾和子、三沢あけみ、いしだあゆみ等々のタイトルで一斉に発売された。
 フランク永井の「ステレオ・ハイライト」シリーズは1962年から第6集の1966年まで続いた。この頃になるとLPはその歌手のヒット曲を中心にして新曲の訴求も進めるということか、その歌手の得意とするさまざまなジャンルにターゲットをあてた曲を寄せたものになっていく。
 各盤には12曲(なぜか14集だけ10曲)収録されている。第1集(最初のものはタイトルは単に「ステレオ・ハイライト」で、第1集と便宜的に筆者が呼んでいるもの)はヒット曲集でまとめられているが、第2集からはかならずその盤に3、4曲シングル盤で発売してない新曲を入れてある。聴いていてこれが楽しみでもあり、今ではレア曲でのあるため大変興味深い。
 全シリーズで17曲ある。モノラルの「魅惑の低音」シリーズでも同じ方式がとられていて、44曲もはいっている。少し違うかもしれないが後に「ボーナス・トラック」としてありがたいモッケ!みたいな「お買い得」感があった。
 当時はビクターはNIVICO JVCブランド(権利制限でビクター名を海外で使用できなかったことから)で日本人が多いハワイやブラジルなどや、海外扱いであった沖縄などに輸出する都合で、まことに安便なはなしだが、タイトルは英語名(文字)とか歌はローマ字での表記がされている(輸出時は単にNIVICO JVCのラベルをビクターロゴの上に貼るとかだけ)。
 Frank Nagai Stereo Highlights、FRANK NAGAI STEREO HIGH-LIGHT のように統一性はない。曲名のローマ字も、ペラジャケの表に日本語と表示がデザインに埋められていたり、裏面に併記されていたりだ。
 別にあげあしをとる気もないが、シリーズであっても不統一というのは曲の時間の表記ありとなしもある。多忙中(この時代LP7枚、シングル35曲程度を年間だしていた)というのが良くわかるのはジャケット写真だ。ひげも剃っていないのが良くわかる写真が使われている。地方の巡業に出ていてひとまず家に帰ろうと思いきや、駅に担当者が待っていてそのままスタジオへ連れていかれてレコーディングしたり、写真撮影ということがあったのだという。
 フランク永井自身はそうしたことが気持ちとして嫌だったようだ。よほど余裕が持てなくて妥協したものと思える。
 公演でときどき共にしたキングの先輩である春日八郎を尊敬していたという。春日はプロの歌手としての意識をたいへん重要視し、絶対にお客様にはだらしない姿を見せてはならないという信念を貫いていた。髪の手入れはもちろん、舞台での服装、靴を隙なく点検し、舞台での姿勢を研究していてそれを絶対にくずさなかった。それが最後まで魅力的な「鋼鉄の歌声」を聴かせる背後の芯だったに違いない。
 「ステレオ・ハイライト」シリーズについてのCD化はまだ実現していない。ビクターからは正式に実現したのはいしだあゆみで20曲程度セレクトされたもののようだ。橋幸夫のはMEG-CDから第1集にあたる盤が復刻されている。

 ステレオ・ハイライトシリーズで、それ以前のフルンク永井のモノラルでのヒット曲はステレオで復活された。だが、ステレオ・ハイライトにステレオ盤のヒット曲が全部収録されたのかというと違う。先に紹介した「ステレオ・魅惑の低音傑作集」(1962:SLV-13)だけに収められた「こいさんのラブ・コール」「羽田発7時50分」「俺は淋しいんだ」「東京午前三時」の4曲を含めると揃う。
 これですべてモノラル盤のヒット曲がステレオになったのだろうかというと、実は「西銀座駅前」(1958:V-41791)が入っていないのだ。西銀座駅前だけなぜかモノラル盤しか残っていない。ゆえに、数多くその後ベスト盤が発売されているが、西銀座駅前だけは音源がモノラルである。
 ステレオ化されるときに「夜霧の第二国道」「有楽町で逢いましょう」「東京カチート」などは編曲者が作曲者の吉田正に変わった。「東京カチート」はバック・コーラスが男性グループから女性グループに変わった。

 「ステレオ・ハイライトシリーズ」は先行した「魅惑の低音」シリーズついで、フランク永井の初期ヒット曲を聴くうえで大切なものだ。この後、LPの基本的な編成がリバイバルを加えたり、カバーを加えたり、ライブとか特集で焦点をしぼったものとか幅が広くなっていく。歌手の魅力を深めていくのである。
 昭和歌謡の遺産のデジタル復刻がすすんでいるが、ぜひともこのシリーズの復刻もテーマにあげてほしいと思っている。

3 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2015年03月>
日 月 火 水 木 金 土
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031