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2015年01月24日18:38

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作曲家大野正雄が語るフランク永井「こいさんのラブ・コール」のエピソード

 「こいさんのラブ・コール」はフランク永井の代表曲のひとつで、大阪モノを切り開いた曲として知られる。フランク永井の甘くささやくように歌う声が関西モノに意外にあっていただけではない。そこには、さまざまな働きかけがうまい具合におりあって実現したと言ってよい。
 ひとつは、前後の日本の復興に全力をそそぐ人達をおおきく支えたのが、明るく夢を広げる素朴な歌だとして、NHK大阪中央放送局(JOBK)が開始し東京(JOAK)が追っかけ並走した「NHKラジオ歌謡」(1946〜1272)に力をいれたが、その動きをプッシュしたばかりか先んじて大きなエネルギーをそそいだのが、大阪朝日放送の「ABCホーム・ソング」であった。1952(S27)年8月から1972(S47)年9月まで日本のABCラジオで放送された。いずれもオリジナル曲の普及を原則にした。
 宝塚歌劇団の音楽監督の須藤五郎らが中心になって「良い音楽を安く」をかかげ大阪労音を結成、積極的な例会をもった。フランク永井は常連の出演者であった。
 こうした運動を背景に「ABCホーム・ソング」で1958(S33)年4月に「こいさんのラブ・コール」をフランク永井が歌うことになった。フランク永井はすでに1956(S31)年に「公園の手品師」を同番組で大ヒットさせていたこともあり、関西での多くの人気をえていた。予想を裏切らずに、この「こいさんのラブ・コール」も親しまれ、すぐにレコードとして発売(7月)された。
 作詞は石浜恒夫、作編曲は大野正雄。ABC放送管弦楽団が演奏。レコードはラジオから流れた音源が使われた。
 「ABCホーム・ソング」では月2曲20年間の放送で440曲流された。フランク永井の「こいさんのラブ・コール」はこの番組を代表するヒット曲でもある。三浦洸一の「踊子」、加山雄三の「蒼い星くず」なども生み出している。
 フランク永井の歌った「あふれる朝の」などいくつかは音源が未発見であるが、多くは残っていて、近年ラジオで何曲か再放送されたりした。また代表曲を「ABCホームソング大全」としてCDで復刻発売れている。このCDのインナーノートに、編纂した濱田�盪峪瓩砲茲訃匆陲�のっている。表題の件はまさにここで紹介されているものだ。
 後にビクター専属の作詞家になるのだが、当時はABCホーム・ソングの作曲に携わっていた大野正雄(写真左)を濱田(写真右上)がインタビューしている。ここで「こいさんのラブ・コール」を作詞した石浜恒夫との興味深いやりとりが紹介されている。
 著名な石浜もこうした歌の歌詞についてはほとんどなれていなかった様子。放送が押し迫る。歌詞が届けられる。長さが今の3倍程度に長い。そのうえ、意味が不明…。作曲の大野はとほうにくれ、石浜宅に走る。酔っていて「テキトウにやってくれ…」と。大野は必至で言葉を入れ替えたり、つないだりの大奮闘。目浮かぶような葛藤の末に、フランク永井に歌わせる。これが大ヒットになる。
 また、石浜が師として一時ともにしていた川端康成の「女であること」の流れを意識して書いたらしい「こいさん」「手乗り文鳥」…。大野はそうしたことばを大阪のことばのアクセントとしてきっちり表現した。このあたりが、独特なニュアンスを出すことに成功した。
 大野はこの歌はフランク永井が以外が歌ってもなかなか納得するに至らないのだ、というようなことを以前に聞いたことがある。また石浜はすでにお亡くなりになっているが、後年フランク永井に書けなくなったのが書く気力の減退になったというようなことも、身近の人に漏らしていたと聞く。
 石浜は「こいさん恋唄」「大阪ぐらし」「大阪ろまん」を、大野はフランク永井に多くの曲を出しているが、石浜とのコンビでは「大阪ぐらし」は欠かせない。フランク永井は石浜、大野たちが大阪モノを開発したことに感謝の思いをこめて、次のように記している(1964:MBK-3110-大阪ぐらし)。
 【むかし、まだ僕がデビュー間もないころ、ステージがはねるとよく付近をふらぶら歩いたものです。ことに心斎橋や道頓堀かいわいが好きでした。活気あふれる店先、行きかう人びと、大阪っ子独特の話しぶりに、浪速情緒のようなものを感じて興味をおぼえたものでした。
 いまは、大阪に仕事があっても町を歩くことはめったにありません。むかしのようにプライバシーが保てなくなったのも理由のひとつですが、われながら淋しいことです。
 おかげさまで「大阪ぐらし」が評判良く、仙台(宮城)生まれの僕が、大阪出身に間違われたりしましたが、これも石浜先生の作詞、大野先生の作曲の素晴らしさのゆえでしょう。お二人とも浪速に生まれ育った浪速っ子の見本のような方です。
 ですから「大阪ぐらし」はその歌自体が、もう大阪のムードを溢れるぐらい持っており、ぼくがただ普通に歌いさえせうれば「大阪のうた」になってしまうような作品です。フランク永井】
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