こないだの韓国映画「メビウス」は、肉体的な痛みが男性めがけて襲ってきたけど、この「ゴーン・ガール」は心理的な痛みが男性、とりわけ妻帯者めがけてキリキリやってくる作品と言えるかもしれません。5年目の結婚記念日に妻が失踪、捜査が進むうち疑惑は夫に向けられ、やがて暴走するメディアを通して彼は全米の好奇の目にさらされることに。
今回の夫役ベン・アフレックはいつもと違って終始オドオドしてるだけ、こんな彼は初めてかも。それにくらべて妻役のロザムンド・パイク(何回か前のボンドガール)はまさに主演女優賞もの、いわゆるクール・ビューティーに属する端正な顔つきの美人なんだけど、常に悪意を漂わせ、何かを隠しごとをしているような感じを実に巧く表現していました。
女がコワいと書いたのは彼女のことだけにあらず。この作品は脇を固める女性陣もみんな強くてたくましい。夫の双子の妹、主任刑事、義理の母親、TVキャスター、それから先は書けないけど、とにかく出てくる女性すべてがゆるぎない存在感なのです。女性からの心理的包囲網によって追いつめられる男性というのが、この作品の見どころのひとつといえるかもしれません。
観終わったあとのどうもすっきりしないもやもやとした感じは、最近のサイコロジカル・スリラーの常套手段と言えるかも。おそらく148分という長尺は、このもやもやした感触を観る側のなかで醸成する時間、つまり単なる謎解きましてはラブ・ストーリーに終わらせないよう、デヴィッド・フィンチャー監督が用意した長さなのかもしれません。
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