mixiユーザー(id:2399973)

2014年12月08日15:30

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「メビウス」〜静寂と痛みと

キム・ギドク監督はまたまたとんでもない映画を作ってしまったなあ。全編83分セリフいっさいなし、つまり字幕なし。聞こえてくるのは叫び声と泣き声とうめき声そしてあえぎ声のみ、おそらく笑い声はなかったかなと。もともと音というものを極力まで排した作品を得意とするこの監督だけに、セリフなし作品はいままでいくつかあったと思うけど、ここまで徹底し、かつこんなふうに痛みと恐ろしさをともなって具体化した作品は初めてのことでは。

ある意味、この映画の主人公は男性の局部。夫の不貞に気付いた妻は、懲らしめに夫の局部を切り取ろうとするも失敗。その矛先は息子のほうに向かい…。ああ、ここから先は男性としては痛くて痛くてとても書けません。いま思い出しただけでもゾ〜ッとする。とにかく“痛み”はこの作品を貫く大テーマです。そしてセリフがないもんだから、役者たちは身体の動きと顔の表情だけですべてを表現し、本来口にするであろう言葉はこちらの想像力に委ねられているわけです。

男性ならば映画を観終わったあと思わずトイレに駆け込んで確かめてしまう、大げさでなくそんな作品です。優しい言葉を使えば家族愛あるいは親子愛、カッコよく言えば人間の果てしなき欲望と業と性(”せい”でも“さが”でもOK)がこの作品の言わんとするところでしょう。そしてタイトルの意味が時間の経過とともに徐々にわかってきて、またまた痛みと恐怖心が増すのです。もちろん誰にでもおすすめできる作品ではなく、痛みに耐えれるかたのみご覧いただければ。
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