原作は1978年、中沢けいが18歳のときに書いた群像新人賞受賞作品。現役女子高校生が大胆な性描写を駆使した小説を発表して話題になったことを、私と同世代のみなさんは記憶しているのでは。当時私は高校2年生、たしかクラスでも真面目そうな部類に入る女の子がこれを読んだと聞き、その事実だけで男子どものバッテリーはビンビンになっていたのです。
当然映画のほうも70年代後半の高校生が主人公。私は“リアル体験者”としてそこに漂う“1978年的記号”を味わおうとしたのだけれど、喫茶店の場面で当時のヒット曲がながれた程度でそのあたりは思っていたほどでも。たぶん安藤尋監督は主人公たちのセリフのやりとりのみに当時の空気感を盛りこもうとしたのだろう。
作品前半に何度か登場する新聞部部室場面での単調なカメラアングルや、なんとなくぎこちないセリフのやりとりが、(あえてあつかましい言いかたをさせてもらえれば)我々が高校時代に撮っていた映画研究部作品の匂いを漂わせていてちょっぴり懐かしくもありテレくさくもあり。もちろん愛欲場面なぞはいっさい御法度だったということになりますが。
もったいをつけてセリフを口にするもたいしたことはひとつも言わなかったり、それほど大きなことは最後まで起きず、生活臭みたいなものだけが残像となったり、おそらく日本映画を苦手とするひとはこういう作品をさしてそう言うのではなんて思ったり。そして日本映画を愛するひとは、こういう作品に“リリカル”という形容を冠してそれに対抗するのだろうけど。
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