目の前にふたりのイギリス人がいる。ひとりがイングランド出身、そしてもうひとりはスコットランド出身。ノーテンキな私はイギリス全体をさすつもりでついつい“England”という単語を使ってしまう。ふたりに向かって「See you in England〔つぎはイギリス(のつもり)で会いましょう〕」とか。するとかならずスコットランド出身のほうが「スコットランドでも会おうな」と言ってくる。
いちいち相手の出身地なんかわかるかい。そう、こういうときはちゃんと“Great Britain"というすべてを包括した言葉があるのです。ちょっとやっかい。「もしあなたが外国のひとから中国人や韓国人と言われたら、まちがいなくあなたは“私は日本人です”と訂正するでしょう。それと同じことなんですよ」やはりスコットランドのひとにこう言われたこともある。
「そんなん気にすることあらへん、オレはわざわざ“スコットランドでも会おうな”なんて言わへんで。外国の人にそこまできっちりもとめるほうがおかしいっちゅうねん。いかにもショーン・コネリーみたいなガンコ親父の言いそうなことやな」私と同世代のスティーヴンはそう言った。お互い20代だったころ。彼のスコティッシュ訛りは限りなくひどいのであえて関西弁にしてみました。
けっこうイケメンだったグラスゴー近郊の町出身のスティーヴン、「いつでもデュラン・デュランのメンバーになれるぞ」とよくからかっていた。そんな彼もあのころのショーン・コネリーのトシにじゅうぶんとどいているはず。きっちりとガンコ親父になっているのだろうか。そしてきょうの日をどんな心持ちでむかえて、どちらに投票するのだろうか。
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