◎愛、アムール (フランス/ミヒャエル・ハネケ監督)
冷ややかな部屋に差しこむ光と風、静けさが印象的。そして観終わったあとのつらくやりきれない思い。タイトルの意味するところは理解できるけれども…。今年は日本映画でも介護をテーマにした作品がいくつか封切られたけど、リアリティを感じるそれらをあえて観ようとはせずに、こうやって海の向こうの世界に衝撃を受けている自分は、やがて目の前に横たわる問題からどこかしら逃避しているのではないかと自責してみたり…。
◎ゼロ・ダーク・サーティ (アメリカ/キャスリン・ビグロー監督)
アカデミー賞・ノミネート組のなかではこの作品。米国の犯したビンラディン殺害作戦に関しては是非があるものの、その過程を丹念に追った緊張感は相当なもの。全編2時間半以上張りつめた空気のまま、ずっと鋭い刃物を突きつけられているような作品です。なによりもクールなCIA分析官を演じたジェシカ・チャスティンという新しい魅力に出会えたのが収穫。彼女の存在なしにこの傑作なし。今後はどんな女性を演じていくのか、楽しみな女優です。
◎きっと、うまくいく (インド/ラージクマール・ヒラーニ監督)
映画のもつ根源的なパワーをまざまざと感じさせてくれた作品。コメディがベースながらインドお得意の歌と踊りはもちろん、ロマンス・アクション・社会問題まで、すべて170分のなかにてんこもり。常に安定したアベレージを求められる欧米や日本などの先進国からはまず出てこない、三振かホームランの国インドからやってきたひさびさの逆転満塁打。昭和30年代の日本人はおそらくこういう映画を観て、泣いたり笑ったりしていたのでは。
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