◎舟を編む (石井裕也監督)
辞書編集部がそろって小料理屋へ行く場面が何度かあるのだが、この作品はまるでしっかりと膳立てされた上品な和食懐石をいただいたときのような印象。松田龍平そして加藤剛、このキャスティングが実にうまくはまっていて素晴らしい。辞書編纂と同じように、細部までじっくりとていねいに造られた作品です。この日本の良さをぜひ海外に伝えたいけど、日本語がメインテーマだから繊細な部分までは理解されないかも。
◎凶悪 (白石和彌監督)
ここまで残虐きわめた日本映画は観たことがない。これが実話に基づいたものとか、そんなことはどうでもよくなり、思わずもうええ加減にせんかいと気分が悪くなった。山田孝之演じるジャーナリスト(とその家族・職場)がやや凡庸で存在感が薄く見えてしまうのは、あまりにもリリー・フランキーとピエール瀧がくりひろげた狂気がすさまじいから。リリー・フランキーは下の作品もふくめて、まちがいなく今年の助演男優賞ですね。
◎そして父になる (是枝裕和監督)
割り切れない二項対立。観ている側の気持ちも双方に揺れるし、福山雅治を起用した理由もよくわかる。過去の(昭和の)日本映画であれば、リリー・フランキーの側に福山を起用して、そちらの側に幸せをもたらす結末にて幕引きだろうけど、単純にそうはいかないのが平成21世紀の社会ということでしょう。この映画を一番観てほしいのは、全国の父親はもちろんのこと、福山が出ているという理由だけでこの映画を観なかったひとです。
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