“失った記憶のその先に何があるのか”−スタイリッシュな映像で見せるダニー・ボイルの最新作−。消えた絵画をめぐって、オークショニア(ジェームス・マカヴォイ)とギャングのリーダーそして女性催眠療法士がくりひろげる極上のサスペンス。いきなり結論になりますが、今回のダニー・ボイル作品は残念ながら過去の傑作群におよばなかったような気がします。
う〜ん、序盤の疾走感のまま最後まで突っ走ってくれたらなあ、というのが正直な印象。登場人物の輪郭がくっきりしだしたころから、急に話はモッタリとしてきます。“催眠療法”というのがこの作品の大きなキーワードだから、場面は現実の世界と記憶の世界をなんどもワープし、これがなんとももどかしく、もうどうにでもなれなんて気持ちになってきました。
終盤にきてカットバックのくりかえしと登場人物のモノローグ、そして終結感あふれる音楽によって謎解きがなされ(一時の韓国映画にもよくあったこの演出自体がちょっと食傷気味)、つじつま合わせが続くんだけど、こちらはさんざんワーピングにつきあってウンザリしているから、謎解きのカタルシスも少なめ。それなりにどんでん返しは用意されているんだけど…。
スタイリッシュといっても、そこかしこに登場する最新ツールや映像における最新技法はともかく、全体のつくりに限ってはずっと前からあるスタイリッシュだったような。“少し前の過去が一番古くさい”という典型的なケース。音楽を担当していたのが監督の相棒というべきアンダーワールドのリック・スミス。ある場面でD・ボウイのある曲のイントロそのまんまが流れ、思わずニヤリ。
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