けっして万人におすすめできません。それなりの覚悟を持って観ていただきたく思います。凶暴性をむきだしにした人間が極限に達したときのいたぶりかたに、いたたまれなくなってスクリーンの前から逃げ出すひとがいるのではないかと思ったほどです。それはただ単に血しぶきが飛ぶといった即物的なものではなく、もっともっと深い、人間だけがもつ恐ろしさというか…。
上告中にもかかわらず、死刑囚が獄中から余罪を告白するという異例の設定。実際にあった話を元に制作された作品です。ここまで凶悪な人間を演じたピエール瀧とリリー・フランキーには素直に拍手を送りたいと思います。両者とも役者一本でやってきたひとではないだけに(いや、ないからか)、コワいものなしのふるまいが生むリアリティには思わずうなってしまうのです。
そうなると、主人公たるべき山田孝之演じるジャーナリストの存在感はどうしても薄くなってしまいがちです。しかし観る側はやっぱり彼のこころの動きに同調してしまいます。それはこの作品に登場する人物のなかで、とりあえずは一番マトモなひとだからでしょう。ところが家庭の問題などもあったりして彼のなかにも少しずつ狂気みたいなものが芽生えてきて…。
暗めのスクリーンがえんえんと続き、郊外の荒んだ風景ばかりが舞台となり、そしてロクでもない人間ばかりが登場し…。こちらの気持ちはさらに落ちこみ、エンディングも苦々しい感触だけが残りました。やっぱり万人にはおすすめできないと思いつつも、こと暴力性に関しては日本映画もここまできたか、一連のキタノ作品もまだまだ甘いななどと感じた一本でした。
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