スクリーン全体が常にじめっと。木と紙でできた昭和の住まいがただよわせる、すえたような匂いをそこかしこに感じたり。さわやかな空気などこれぽっちもなし。昭和の時代の地方の町における湿度の高い“夏の終り”。瀬戸内寂聴のベストセラーを初めて映画化、妻子ある年上の作家そして年下の若き編集者、ふたりの男のあいだを行きかう女性の物語。
想像力と忍耐力がある程度必要です。セリフは最小限に抑えられ、場面が盛り上がるや寸止め的に次の場面に移ってしまうんですね。しかもその次の場面は翌日なのか、翌週なのか、はたまた半年後のことなのか簡単にはわからないときた。いきなり過去にさかのぼることもあったりで、とにかく説明をできるだけ排除した不親切な作品といったらいいでしょうか。
男性ふたり(小林薫・綾野剛)を手玉にとる女性(満島ひかり)。男性の側からみればまあなんて勝手気ままな女かと。いいわけのセリフもすこしもいいわけになっていないし。感情だけで行動されたらたまったもんじゃない。原作は瀬戸内寂聴自身の不倫体験を描いたものらしいから、こんな女性に年を経て“説法”されているのかと思うと…。いやこんな女性だからこそできるのかも。
女性のかたは主人公に感情移入することによって、また違った見方がができるのではと思います。感情の揺れなど男には不可解な部分もあると思うし。そういう意味ではカップルで観るのにふさわしい作品かも。女優としての満島ひかりに注目が集まってますが、まあ“アイドルユニット時代のことを思えば”という注釈つきで、かなりいい女になったもんだと思いました。
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