“ピピピピピピピピ”けたたましいアラーム音がいきなりあべののベタ喫茶「スワン」の店内に響きわたった。お店のひとはもちろん、ほぼ満席の来店客みんなが何事かと誰もがそのカン高い音の正体を探しはじめた。どうやら店内でその音に一番近いところにいるのは私のようだ。だってみんなこっちを見てるやん。ひえ〜っ、いったい何の音や。私が何かしたのか。
ウエイターの兄ちゃんがあわてて飛んでくる。イスに腰掛けた私の周囲をなめるように見る。アラーム音はまだ鳴りやまない。私の足元に落ちていたヒモのようなものを拾った兄ちゃんはすぐさまそれを私に手渡した。それが私の万歩計からぶらさがっていたストラップだとわかるまでしばらくの時間がかかった。そのあいだもアラーム音は鳴りつづけていた。
兄ちゃんからストラップを受けとったものの、それとアラーム音との関係がさっぱりわからない。ストラップを手にしたままぼうぜんとする私。“ピピピピピピピピ”はまだ続いている。周囲の客がイライラしはじめた。兄ちゃんがたまりかねた様子でストラップの先端を私の腰にくっついていた万歩計本体にねじ込んだ。ようやくアラーム音がようやく止まった。
その万歩計は退院後の健康維持にと友人からいただいたものだ。ただし新品ではなくもともとその友人のもの、もう使わないからということでトリセツ抜き本体のみ手渡されたのだ。だから“ストラップが何かのアクシデントにより本体から抜け落ちるとアラーム音が鳴ります”なんてこと知るよしもなし。やれやれまったくハジかきフライデーナイト。
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