1970年代にビルマで単身駐在経験のあるウチの父親は先にこの映画を観ていて、ロケ地のほとんどがタイにもかかわらずラングーンの街並みや住まいの雰囲気が実にリアルだとか、主演ミッシェル・ヨーのビルマ語が完璧だとか、そしてとにかくかならず観ろと興奮気味にまくしたてた。まあ実際にそこで生活した人間の言うことだから説得力はあるのだけれど。
「The Lady アウンサンスーチー ひきさかれた愛」、リュック・ベッソン監督にしてはえらくマトモな作品という気がする。中高生向け映画鑑賞会にふさわしいくらい、あえて言えば別に監督は彼でなくてもよかったのではと思わせるほど直球勝負の作品だった。自宅軟禁生活やノーベル平和賞受賞、激動の半生がほぼ時代を追って語られていく。
イギリスに住む大学教授の夫との夫婦愛が、彼女の民主化運動と同じくらいの比重で大きなテーマとなっている。軍事政権との闘いが作品の主軸になると思っていたこちらとしては意外なくらいのウエートの置きかただ。おそらくフランス人であるベッソン監督は、このイギリス人の夫を通して欧米人からの視点みたいな部分を表現したかったのだろう。
最後に下世話な感想をひとつ。かぎりなくスーチーさんご本人に近づいたミッシェル・ヨーには失礼な話だけど、実際のスーチーさんのほうが彼女よりずっと美人だと思った。ふつう実在の人物をとりあげるときはたいがい本人より美人・イケメンの役者を起用することが多いけど、逆のパターンもたまにはあるのだなあと思ったのです。
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