実は半年前ぐらいからその予兆はあって、地下鉄ひと駅分ぐらい歩くとかならず左胸が重く感じられていた。でも動悸というほどのものではなかったし、2〜3分ジッとしていればおさまった。まあ運動不足とトシのせいかななどとその兆候をまったく無視していたのだ。そしてその10日前ぐらいからはわずか数百メートル歩いただけで同じ症状を感じた。
5月28日に甲子園球場へ出かけた。阪神は敗れ、虎キチたちが帰途につく足は速くなる。ところがちょっと歩いただけで胸が重くなった。同行の友人たちはどんどん先へ足を進めていく。あわててケータイで彼らを呼ぶ。戻ってきた彼らはビックリしていたけど、その後ゆっくり歩いて阪神電車に乗ったころはもう何事もなかったかのように、その日の阪神ナインをけなしていた。
さてその日、5月30日の朝、散歩に出かけた私はわずか300メートル歩いただけでまた胸が重くなった。おかしいなあと思いつつちょうどそのとき目の前にいきつけのベタ喫茶があったので飛び込んだ。モーニングセットが出されたころにはもうすっかり胸の重さなど忘れていた。口に運ぶトーストを最後に、そこからまる3日間何も口にできない運命になるとは知るよしもなし。
やっぱりちょっと医者にでもいっておくか。軽い気持ちで私はiPhoneに「阿倍野区 循環器内科」と入力し、とりあえずアイウエオ順で先頭に上がってきた医院に行くことにした。ここからはそれほど遠くないし、受付時間がスタートしたばかり、阿倍野警察の北側にあるそのA田クリニックが心臓疾患系きっての名医、非常にいい選択をしたと聞かされるのはずっとあとになってのこと。
A田先生は私の言葉を聞いただけで、つまり聴診器もあてず、何ら数値を一切取ることなしに私に即入院を命じた。私が話す一連の症状は狭心症および心筋梗塞一歩手前の典型的なものだと。すぐ近くの市大病院に紹介状を書くという。入院!とりあえず私は嫁ハンに電話をした。そのとき嫁ハンはまだグーグー寝ていて私が散歩に出たことすら知らなかったのだ。
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