百足は思った。
「脚が痛い」
でもどの脚か分からない。
右か左かも分からない。
前か後ろかも分からない。
ただただ鈍やかな痛みがしんしんと続いていて、百足を苦しめる。
百足は思った。
「分からないからなんだと言うんだ?」
分かったところで、どうしようもないのだ。
ああ、痛いのはここだと分かったところで、いったい何になる?そう決め込んで、ぞろぞろと歩き出したのだが、やはり痛い。
「俺は知りたいだけなのだ」
この痛みを取り除くことよりも、ただ自分の痛みの根源を知りたい。そう、ただ知りたいだけ。それを知ったところで、何もできないことくらい分かっているそれでも、やはり知りたいのだ。
そうして目を覚ました僕は、自分が百足であることを知る。
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