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2020年02月25日20:00

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愛を背負って闘う ( 映画『オリ・マキの人生で最も幸せな日』)

今年はじめに観た『ヘヴィ・トリップ/俺たちゃ崖っぷち北欧メタル!』といい、昔からジャンルを問わず北欧映画に外れ無し、というのを今回もつくづく思い知らされる良作です。(もちろんそれは、選りすぐりの作品が日本に配給されるからなのだろうけど)

本作は『ヘヴィ・トリップ〜』と同じくフィンランド映画なのだけど、全編モノクロ(しかも16mmフィルム)で描かれるそれは1960年代。
主人公、オリ・マキはプロボクサー。欧州内で実績を重ねた彼は、来芬する米国人チャンピオンに挑戦するチャンスを得る。しかしその直後、友人を通じて知り合った女性ライヤと恋に落ちてしまう。
これからトレーニングと減量に励まなくてはいけないのに、ライヤに夢中でオリはちっとも身が入らない。大一番を控えているので様々な取材やパーティにも応じなければならないが、彼の心ここにあらず状態。オリの指導に情熱を傾けるマネージャーは苦りきるばかり。
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『ロッキー』を引き合いに出すまでもなく、あらゆるボクシング映画にロマンスはセットのようなものだ。この映画もまさにそうなのだけど、とにかく異色。
まず「オリ選手」のキャラクター。チャンピオンに挑戦できる資格があるくらいなのだから、ボクサーとしてのセンスは秀でているのだろうけど、風貌といい佇まいといい、あまりに大人しく優しげで、アグレッシブさが見えてこない。おそらく闘志を内に込めるタイプなのだろうけど、これがなんとも「映画らしくない」
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映画らしくない、といえば、演出も劇的さにほど遠いくらい淡々としていて、そこがいかにも北欧的?
しかし不思議なのは、昔の話の再現とは思えないくらいにオリたちの想いがじんわりと、観ているこちらの間近に居るかのように伝わってくることだ。不思議なオンタイム感。しかもモノクロ画面にもかかわらず。いや、それだからこその眼差しのマジックなのか、カメラワークの距離感の出し方が上手いのかも。

ボクサーである前に、ひとりの男としての幸せを選ぼうとした彼。それを物語るようなポスター/チラシの絵が秀逸です。僕はてっきり主人公のオリ・マキはこっちを向いて微笑む女性だと勘違いしていたくらいだから(笑)

男性、女性問わず、アスリートの恋愛の善し悪し、デリケートな問題であるのもこもごも考えさせられます。この映画はそれを仰々しく問うものではないのですが。

フォト【予告編】https://youtu.be/CUVckPMiPzA

〈シネリーブル梅田で27日まで公開中〉

なお、このオリ・マキ選手、観終わってびっくりしたのはなんと実在のボクサー!この経緯も実話。(今の奥さんもライヤさん)
では果たして試合の行方は?
彼は今もフィンランド本国ではレジェンドなのだそうだ。
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