いきなり赤ん坊をあやすオルゴールの音色。あれ、どこかで聴いたことのあるメロディ…それが何かわかったとたん妙に感激してしまい、しばらくのあいだセリフを追うことを忘れてしまった。ニューヨークを舞台にした40代(ベン・スティラー&ナオミ・ワッツ)と20代(アダム・ドライバー&アマンダ・サイフリッド)、ふたつの世代が織りなすロマンティック・コメディ。
最新カルチャーがあちこちにちりばめられ、まさにイマドキ図鑑の趣き。ITツールにがんじがらめになる40代夫婦、いっぽうナチュラルでアナログな日々を送る20代カップル、この対比がとても興味深い。やがてもうひとつ上の世代〜60代男性が登場し、“ドキュメンタリー映画制作”というテーマのもとにこの3世代が一本の軸でつながっていく。
セリフのなかにも小道具にも、そして流れる音楽にも、思わずニヤリとしてしまう小ネタが多発されるのは観ていて楽しいけれど、表層的にハヤリを追っかけているような感触もあって、物語としてはやや深みに欠けているような気がする。そのあたりの味わいは、同じくニューヨークを舞台とした男女群像劇を得意とするウディ・アレン作品にまだまだおよばないと思う。
あとこの邦題はあまりにもベタ。「While We're Young」という原題をそのまま活かすような気のきいたタイトルにはなんとかならなかったのかと。それでもラストシーンには冒頭のオルゴール・メロディがふたたび流れ、やがてそれはオリジナルの歌唱となり、そのままエンドロールに突入…このしみじみとくる展開に、個人的にはすべてを許してしまうのでした。
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