☆洋ちゃんの読観聴　No. 1605

☆洋ちゃんの読観聴　No. 1605　　　　　　

クイーム・マクドネル　「平凡すぎて殺される」　

アイルランド人によるユーモア・ミステリー。
この作家はコメディアンとの二刀流らしいが、
そのユーモアが光る。

舞台はダブリン。主人公は無職の若い青年、ポール。
親族から受け取った遺産でなんとか生きている。
その親族の遺志により彼は認知症老人の傾聴という
ボランティアをしている。ある日病院でポールは
老人に話しかけていたところ、いきなり老人は
彼を襲ってきた。看護婦のブリジッドの協力も
あり、なんとか難を逃れたポールだったが、
何者かに命を狙われる。

老人はポールを襲った直後に心臓発作で亡くなるが、
彼は偽名を使っていて、実は有名なギャングの手下
だったことが分かる。ポールを狙っているのは
ギャングの親玉らしいが、何故ポールを狙うのか？

ギャングの親玉の弟が富豪の美しい妻を拉致したか
駆け落ちしたらしいことが分かってくる。ポールは
ブリジッドと共に素人探偵として過去の事件を調べる
とともにギャングの親玉に迫っていく。

そのポールを助けようと、ポールを子どもの頃から
可愛がっている刑事のバニーも独自に捜査を進める。
このほか、正規の捜査をすすめる刑事、ポールの
弁護士、ポールの仲間、救命医師、ブリジッドの元
婚約者など、個性豊かな登場人物が笑わせてくれる。

この作家は既に10冊以上上梓しているらしいが、
邦訳は本書が最初。本書の続編を含め、翻訳が
待たれる。