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2022年08月28日11:07

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1558

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1558       

深緑野分 「スタッフロール」        

映画の本編が終わり、映画製作に関わった人たちの
名前が出てくる。これをエンドロールと呼ぶ。
最初はキャスト(出演者)、その後出てくるのが
スタッフロールである。その数、たぶん数百では
きかないと思う。1本の映画にこれだけ多くの
人たちが関わっているのだと驚嘆する。

本作品は、そのスタッフのうちの特殊技術スタッフの
物語である。2部構成となっており、1部は
特撮スタッフの女性の半生が描かれている。手作業で
粘土細工のように顔を造形するなど、1960年代から
80年代くらいまで。2部はその後から現代に続くCG
時代で、登場する女性スタッフはコンピュータで登場
人物・動物を創り動かす。

1部においては特殊造形士の女性は、よい仕事を
しながらもスタッフロールに名前が出ることはない。
そんな時代なのだ。やがて時代はCG時代となり
彼女は姿を消す。2部においてはCGクリエーターは
ロールに名前も出るし、作品は映画賞にノミネート
されたこともある。しかし、自分の力量には自信を
感じていない。

1部の主人公が作り出したキャラクターがCG化
されることになった。それはオリジナルへの
冒涜ではないかという批判もある中で、2部の
主人公らは新しい映画製作に奮闘する。そこに
1部の主人公と過去の関わった女性が現れ、
映画製作に妨害が入る・・・。

いずれの女性も映画を天職としており、努力も
重ねており一定の評価も得ているものの、世間からの
評価からは遠い。縁の下の力持ち的な彼らへの
世間のまなざしはまだまだ低いのである。
それでも彼らの映画に対する情熱は熱い。この2人の
主役以外にも彼らと関係する同僚、仲間らが多数登場
する。それぞれの生き方や立場の違いから袂を分かつ
こともあるのだが、それでも創造者への敬意は忘れない
ことに胸をうたれる。

CG映画がどのようにして作られるのか、専門用語も
入り、少し分かりにくい面もある。だが、CGは
単にコンピュータに頼った小手先の技ではなく、
ここでも創造力が求められるということが理解
できた。





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