mixiユーザー(id:11487068)

2021年12月05日10:02

75 view

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1501

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1501       

若竹七海 「パラダイス・ガーデンの喪失」

若竹七海の最新ミステリー。舞台は湘南の葉崎という
架空の町。小さな町で、最近になり移り住んできた
住民もいるが、多くはこの町で生まれ住み続ける
人たちだ。

母親が高台の土地を購入し、それを引き継いだ娘が
庭園を整備し、町のちょっとした観光スポットに
なっていて、カフェも営業している。そんな庭園で
老女の死体が見つかる。自殺のようだ。だが、この
遺体が誰なのかなかなか分からない。

そんな折、町で誘拐事件が発生する。小さな男の子が
誘拐され身代金要求もされる。金の引き渡し現場に
警察のチームが張り込むが、偶然とチームの失態に
より犯行グループを取り逃す。

庭園のオーナーは不審な電話をたびたび受ける。
この庭園が老人ホームに替わるという情報が流れ、
ホームの入居を望む人たちからの問い合わせが相次ぐ。
どうやら老人ホームの入居者から頭金をねらう
詐欺らしい。

数多くの人たちが登場する。その数約20人。
現在起こっている事件だけでなく過去の殺人や
失踪事件なども絡んでくる。さながら横溝正史の
作品のような複雑な血縁関係なども見られるが、
おどろしくはない。

各賞のタイトルがパッチワークに関連したものと
なっているが、作品自体がパッチワークであり
各パーツが独立しているようで別のパーツと
関連している。

また、ミステリーであるから最終の局面で
分かってくる伏線がめぐらされている。
なので、読者はたくさんの登場人物のそれぞれの
関係を把握しながら伏線にも目をそらすこと
なく慎重に読み進める必要がある。(それが
面倒ではあるが、本格ミステリーを読む楽しみでも
ある。)

よくもまあ、これだけ複雑な話をまとめあげ
られたものだと感心する。さすが若竹七海である。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2021年12月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記