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2015年09月16日08:34

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1079

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1079             

桂望実 「嫌な女」                         

少し前に黒川博行の「後妻業」を紹介したが、こちらも
結婚詐欺の話だ。

ただし、「後妻業」が結婚を繰り返し夫を殺して遺産金や
不動産を手に入れる、ほんとの悪い婆さんなのに対し、
「嫌な女」の詐欺師は殺人はしないし、どこか可愛げも
ある。

男の心に上手に入り込む夏子は天性の詐欺師だ。 
そして彼女は被害者から訴えられたとき、遠縁で
同い年の弁護士、徹子に被害者との交渉を依頼する。

男にモテ、次から次へと男を乗り換えてゆく夏子に
対し、徹子は地味だ。結婚は一度はしたが離婚。
その元夫とは友人関係が続いているが、ほかに
恋愛遍歴もない。まじめで仕事一筋なのだ。

そんな夏子と徹子の人生の対比が読みどころで
ある。

徹子が勤める所長と事務員だけの弁護士事務所。 
弁護士の先輩である所長、徹子より少し年上の
事務員とのやりとりも読ませる。 

弁護士の成り立てから引退までの長い間、徹子は
夏子のトラブルに付き合わされる。非は彼女に
あるものの弁護士の仕事は依頼人の利益を最大限に
引き出すことであり、徹子はプロに徹する。

夏子のしていることは悪であることは間違いないの
だが、夏子の生き方をある意味うらやむ徹子もいる。

ひよっこ弁護士だった徹子もやがて歳をとり、
若い弁護士を育てる身になる・・・。

人生って楽しいことはそんなにあるわけではないし、
伴侶や友人との別れなどで孤独にさいなまれる。 
だけど人生はつまらないものでもない、という
のがテーマなのであろう。 

大作ではないが、悪くない一品だ。

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