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2014年12月21日10:03

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1027

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1027                  

ジェイムズ・トンプソン 「凍氷」                

ここ数年僕はかなりの北欧ミステリーを読破し、
その都度ここで紹介してきた。その多くは警察
小説で、その主人公は中年の、だいたいにおいて
離婚暦のある警部というケースが多い。

まれに仲の良い夫婦が主人公ということもある。
その場合でも夫が警察官ということなるが。

たびたび紹介してきたレックバリのシリーズ
(こちらは刑事の夫と作家の妻)が一つ成功例と
してある。そして、もう一つが、今回紹介する
フィンランドを舞台とするシリーズで、こちらは
夫が警部、妻がホテルの支配人である。

ユニークなのは妻がアメリカ人で夫が地元の
フィンランド人という設定だ。(なお、著者の
トンプソンはフィンランド在住のアメリカ人で
妻がフィンランド人とのことだ、つまり作品と
実生活は逆ということになる。)

シリーズ第2作の本作品では、警部のカリは
新しい相棒とともに、富豪の妻の殺人事件を
担当する。同時にトップからの指令で国の
英雄がユダヤ人虐殺に関わっていたかという
捜査も行う。

事件捜査が縦軸だとすれば横軸は主人公と
妻ケイトとの関係だ。今回は、妻の妹と弟が
アメリカから遊びに来る。だが、二人とも問題を
抱え、カリの兄の家族らとケンカになったり、
酒場でとらぶったりする。

そして、僕が面白いなと思ったのは、ケイトの
妹と弟がフィンランドとアメリカ社会との比較を
論じる。どちらの国が良い悪いとは言えること
ではないし、実際カリもそう語っているのだが、
今日の世界情勢をシンプルに言い表していて
僕は感心した。

最近この著者が他界したと聞く。このシリーズも
あと何作もないとなると淋しい限りだ。

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