🎞 『オッペンハイマー』(シアタス心斎橋)
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『虎の血 阪神タイガース、謎の老人監督』村瀬秀信
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観ようかどうかと、気の重い映画でした『オッペンハイマー』
だけど監督がクリストファー・ノーランだからと自分で背中を押すように行ってみれば、たしかにこれは力作。そしてやはり問題作。
おそらく、被爆国の人でなくとも誰もが本作に大きな興味を抱くのは、原爆開発の中心人物として尽力し、それを成し遂げたものの、そのあまりの威力の大きさに衝撃を受け、しかもそれが「実戦」で2発も用いられたことで大きな惨禍をもたらしてしまった。核戦争で人類滅亡の可能性を生んでしまった彼の葛藤と苦悩。それをどう描くかなのだけど、観てみればそれは抑制が効き過ぎというかかなり深沈とした感。彼はほとんど自ら心情を吐露しようとはしない。むしろそれにじっと耐えるだけが自分の余生、という印象。その「堪えよう」がどんどん凝縮されるほど、心の奥底に虚無感のようなものが広がっていく。あたかもそれはブラックホールのように。彼は量子力学を学んで、そのブラックホールについて語る場面があるのだからなんという皮肉だと思う。
そのオッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィーの、本人にどれだけ成り切ったのか、怖ろしさも感じる深い眼差しがとにかく印象的。
ところが、ここで映画を「ややこしく」してしまうのは、原爆に関わったことと同じ比重で彼の戦後の受難が描かれることだ。すなわち反米的な活動をしていたのではないかという嫌疑。これが時系列を幾つもずらして展開され(この前に観たデビュー作『フォロウィング』と同じ!)、まるで政治サスペンスを観るような描きように戸惑うばかり。もちろんこれも彼の人生の大きな節目でありドラマなのだろうけど、原爆うんぬんから「はぐらかされ」ているような。しかもこれにかなり時間を費やしているのだから、果たしてノーラン監督は彼の批判なのか擁護なのか?どちらでもないのか?とかなり大きなモヤモヤが残る作品ではありました。
今月は本数こそ少なかったけど力作揃い。以下良かった順に。(DVD鑑賞は除外します)
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『RHIENGOLDラインゴールド』(シネマート心斎橋)
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『アイアンクロー』(TOHOシネマズなんば)
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『ゴッドランド GODLAND』(シネリーブル梅田)
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『フォロウィング』(シネリーブル梅田)
本は、以下に挙げる「歴史的な」のも良かったのだけど、ここは出色の野球ノンフィクションを楽しませてもらった。ということで「特別賞」として。
『戦争の文化』ジョン・ダウー
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『ナチズムの記憶、日常生活から見た第三帝国』山本秀行
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『Uボート・コマンダー』ペーター・クレーマー
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