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2024年03月04日09:14

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☆洋ちゃんの読観聴 No. 1658

☆洋ちゃんの読観聴 No. 1658

まさきとしか 「彼女が最後に見たものは」

この作家の作品は、かなり前に一作だけ読んだ
記憶がある。確か女性刑事と中年男性刑事のコンビが
殺人事件を捜査する話で、どこにでもあるような
家族が実は一つひとつ問題を抱えていて、それが
事件を引き起こすというようなストーリーだったと
思う。

今日紹介するのは、シリーズものの第2弾。
三ツ矢と田所の両刑事がホームズとワトソンの
役割をしている。そして、本作品も家族の在り様が
テーマであろう。

50代のホームレスの女性が殺害された。そして、
この女性の指紋が、別の未解決殺人事件の現場で
採取された指紋と一致する。この未解決殺人事件の
男性被害者とホームレス女性との接点が分からない。

やがてホームレス女性の身元が分かる。彼女の
夫がくも膜下出血で路上で亡くなった直後に
トラックにひかれていた。

さまざまな人物が登場する。被害者をひいてしまった
トラック運転手、その妻、殺害男性被害者の妻と
娘、トラック運転手が知り合った兄弟の男たち、等々。

ホームレス女性がかつて住んでいた貸家の大家によれば、
彼女は急に家の解約を申し出て、その翌日に家を退去
したが、その前々日に未解決事件の男性が殺されて
いた。

人間の欲望と挫折や絶望、葛藤や悲しみ、自己と
関わるパートナーへの思いと不信感など、いろいろな
人の感情の揺れが描き出される。

ときどき読み返さないと、それぞれの人間同士の
関係が分からなくなる。だけど、それをしないと
事件の真相がなかなか掴めない。

この作家の特長は、ミステリーというスタイルを
使った家族崩壊の物語を描くのが信条かもしれない。
貧困など社会問題に対しても、政治や体制への
批判ではなく個人の問題として扱われ、その
個人間の軋轢が事件につながっていく。

好評につき本シリーズは第3弾も出ているようだ。


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