☆洋ちゃんの読観聴 No. 1630
森沢明夫 「大事なことほど小声でささやく」
これは万人に安心して薦められる人情話だ。
文庫本で６章仕立てなので、電車の中などでも
読みやすい。
この作家が有名になったのは、吉永小百合主演の
映画「ふしぎな岬の物語」で、原作のタイトルは
「虹の岬の喫茶店」だ。
さて、本作品は群像劇といっていい。スポーツジムに
通う仲良しの人たちの、それぞれの人生を描いて
いる。
➀さえない中年のサラリーマンが高校生の娘との
関係に悩む。
��25歳の女性の漫画家は売れっ子だが、仕事が
忙しすぎて故郷の両親との連絡も途絶えがち。
�９盥酸犬涼砲了劼蓮⇔梢討�離婚しており、
父親と二人暮らしだが、ジムにやってきた
女の子に恋する。
�せ�科医の男性は妻との二人暮らし。3年前に
5歳の娘を亡くしており、これが原因で妻との
関係が冷えきっている。
��70歳に近い男性は小さな広告会社の社長。
若い社員との関係に悩んでいる。
�Ε好淵奪�を経営するオカマは陽気な性格で
ジョークをとばし仲間たちを常に勇気づける
存在だが、そんな彼も孤独感がある。
登場人物はジムとスナックの常連であり、
彼らの関係は密である。各章それぞれに主役が
替わっていくが、それぞれ登場人物がからみ
互いに助け合う。
一人ひとり悩みや苦労はあるのだが、それを
気づきや助言でのりきっていく。まあ、
できすぎた話ではあるのだが、気持ちのよい
小説だ。
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